都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

忠霊塔②

クイズヘキサゴンⅡ』は、クイズ番組の革命でした。
何せ、間違えるほど長くテレビに映っていられるのですから。マラソン中継でいえば、ビリの人を追っているようなもの。こんなの常識と違います。
ただし、不正解なだけでは、レギュラー出演が適いません。回答者には、スピードと発想の飛躍が求められているのです。したがって、無名な中から番組内でスターに登りつめたタレントには、リアクションが並外れているという共通した特長があります。「~斬り」など台本で作り上げられたお笑い芸人が、喰われてしまうのはこの部分。クイズが台本に書かれていない以上、反射神経こそが命なのです。
「~は何でしょう?」に対し、「……」では、番組が持たない。だからこそ、リアクションの上手いタレントをおバカと罵っても、蔑んでいるようなイヤな感情が起こらないのです。むしろ、別の部分をホメているような。
 
レッドソックス松坂の高校時代、一年先輩でキャッチャーをやっていたタレントの上地雄輔は、次のような答えを反射神経で打ち返します。
 
   【問題】     
     孔子が残したとされる有名なことば「罪を憎んで…」 さて、何と続くでしょう?
   【ピンポーン】
     ドナドナ
 
ねっ、スゴいでしょう? 出題者が「孔子が残した有名な」と言った瞬間に、後半の文章を聞こうとしません。
“こうし”で有名と言えば、『ドナドナ』しか頭にないわけですから。
正解が「人を憎まず」だと言われても、そんなことば、意識したことがないし、覚えようともしないのです。
仮に、問題を最後までしっかり聞かせたとしても、同じことです。知らないんだから。
 
おそらく、彼の頭の中には、耳で聞いた単語を漢字に置き換えるという変換システムがないのでしょう。
だから、出題者の「孔子が残したとされる有名な」という文章が、「こうしがのこしたとされるゆうめいな」と平仮名で脳に刻まれていく。その結果、長い文章になってくると、全体が掌握できなくなります。人の話を最後までよく聞いていられないのは、そのせいなんですね。
 
さいころ、テレビやビデオで育つと、そんな風になりがちだと思われます。
本をあまり読んでいないため、漢字の絶対量が不足し、人のことばを平仮名でイメージする。そのために、いろんな局面で、間違いを犯しやすくなるということ。
 
その代わり、言葉が充実していない人は、視覚が発達します。ものをよく見て、判断の材料にする。昨日の話に繋がるのであります。
 
(つづく)