都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

クセ者

元木大介というプロ野球選手がいました。
夏の甲子園で、通算6本塁打の記録を持つスラッガーで、ドラフトはダイエーの一位指名を蹴って一浪の末、ジャイアンツへ。
しかしながら、入団後にあまりにもの実力差を感じたため、プレースタイルの改造を模索、長打を捨てて小技を磨き、どこでも守れるスーパーサブに徹しようとします。
隠しダマ、意外性のホームラン、犠牲となる進塁打、併殺崩しのスライディング…長島監督に好まれ、“クセ者”と呼ばれました。
晩年、近鉄(当時)へのトレードを打診されると、潔く引退の道を選ぶ。
とまぁ、こんな経歴です。

引退後は、『クイズヘキサゴン』で、異常に漢字が読めない才能を見出され、「ちゃんと出題できるかな?」で華麗にデビューし、“おバカの新人”の称号を獲得しています。

しかーし、ちょっと違うんですね。
ただのおバカじゃありません。
戦略が、ちゃんとあるじゃありませんか。
ジャイアンツで存在する場所を創り出したのと同じように、バラエティタレントとしてのポジションを確保したのです。これって、周りのことがよく見えているし、自分を客観視する能力に長けている。バカじゃないよう。


評論家の二宮清純氏は、その著『プロ野球「人生の選択」』で、プロとして成功するか否かは、素質でなく、頭のよさであると看破しています。どうしたらこの世界でメシを食えるかをどれだけ早く理解できるかーそれこそが、頭のよさだと。

うーん、なるほどねぇ。
ことばを整理して、考えを昇華させる。二宮氏もまた、一流のプロフェッショナルなのであります。


おバカの称号と引き換えに、相手が油断して胸襟を開いてくれるなら大いに結構。そんな風に考えているんでしょうね、クセ者だから。