以前住んでいたマンションは、21階建てでした。
ヨコハマ中華街の入口に位置するそれは、絶好のロケーションであるため水商売関連の人も多く、いわゆるキレイなオネエサンがたくさんいました。
私の部屋は7階。
二基のエレベーターは、コンピューターで制御されているんでしょうね、実にコンビネーションよく動いており、長く待たされることはありませんでした。
住民は総じてお行儀がよく、個室内ではお互いに軽く挨拶を交わす。
だからといって、それ以上に踏み込まない。
このあたり、田舎とは違う独特の距離感で生きているのが都会の生活者たちであります。
ある日のこと、所用にて駅へ急ぐ私に悪夢が襲ってきました。
忘れもしない右側のエレベーター。
扉が開くなり、異臭が。そこには、誰も乗っていません。
つまり、置き土産ですね。全然、いらないんだけど。
そういうときに限って、6階でも止まります。
しかも、オネエサンが。
パニックに陥っている私は、言葉を失っており、会釈すらできません。これじゃ、犯人じゃん。
悪いことに、4階からは親子連れが。
「お父さん、なんか臭いねぇ」
潔白を訴えるかのように、私を睨むオネエサン。
外見から推理を重ねる親子。
もう、最悪です。
痴漢の冤罪も、こんな感じなんでしょうね。
やっぱ、人は見た目です。
この人がオナラなんかするハズがない。そんなファッションを心がけたいものです!?
会社の人事異動で、前任者の残した負の遺産に苦しむときがあります。
そんなときは、この話を思い出しましょう。
そういうこともある。
そして、この人がそんなことをするハズがない、と思われるような人格形成を。
難しいけどね。