子供のころ、『おとなの漫画』という社会風刺コント番組を楽しみにしていました。
出演していたのは、ハナ肇率いる“クレージーキャッツ”。
クレージーという英単語は、少年若林が最初に覚えたイングリッシュだったように思います。
笑いの質が、ほかの芸人と違っており、ちょっとブラックな感じが、後からじわじわ伝わってくるのが嬉しく、こんな人たちみたいになりたいと、ぼんやり考えたりもしたものです。
このグループの楽しさは、抜群の明るさと音楽センスに支えられておりました。
「わかっちゃいるけど、やめられない」っていう『スーダラ節』。変な踊りをマネしたものです。
「学校出てから十余年~」は『五万節』。ホラ話を競い合うってパターンは、笑いの基本でもあります。
「そのうちなんとか、なーるだーろーう」は『黙って俺について来い』。俺のところへ来いと言ったかと思えば、青い空と白い雲を見上げてごらんと煙にまく。発想の飛躍ですね。
「あなただけが、生きがいなの~」って真面目に歌っていたら、突如「てなこと言われてその気になって」と一転、バカ騒ぎ調になる『ハイそれまでヨ』は、音楽における“転調”という作風を学ばせてもらいました。
いや、ホントに強く影響を受けたものです。
メンバーの谷啓氏が亡くなりました。
享年78歳。合掌。