都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

親分

ラグビーというスポーツは、レフリーのジャッジが絶対で、その判定に異議を申し立ててはいけないという不文律があります。
人間が判断する上で、限界があることを知りつつも、敢えて主審の笛に従う光景は潔く、楕円球の不規則なバウンドと合わせ、これもラグビーだという哲学のようなものがあるのです。
これは、理不尽なようでいて分かりやすい。
何が正しいかを追求するよりも、誰が正しいかがハッキリしているほうが、公平さを実現できるのではないでしょうか。
そんな意味で、レフリーは試合進行の中で、「今度やったら、反則だよ」というような適宜注意を与えますし、レフリーのクセを見抜くのもまた、選手の力量なのです。

そんなスポーツで育ちますと、野球の審判に対する選手や監督の接し方は信じられません。
もっとも、それは日本のプロ野球の話であって、大リーグでは違うみたいなんだけど。
選手時代に不遇だった者が、第二の人生という形で天下る図式が多いため、こうした構図を生むようです。
「ヘタクソ!」などというのはマシなほうで、突き飛ばしたり、ぶん殴ったり。
巨人のガルベス投手が、ボールを思いっきり投げつけたのも記憶に新しいところです。

だけど、大沢親分はスゴかった(ヒドかった)。
高校生最後の夏の神奈川県予選で、微妙な判定に苦しんだ挙句、敗退し、試合終了後にトイレで出会った球審を蹴り上げるという暴行に及びました。
いかんせん高校生ですからねぇ。
よく退学にならなかったものです(一年間出場停止のみ)。

その後いろいろあって、選手よりも監督として能力を発揮、13年で一度しか優勝していないにも関わらず、“親分”と慕われたのは、その人柄によるものでしょう。
サンデーモーニング』の“週刊御意見番”で好々爺に見えたのは、相方のキャラクターに恵まれた(?)ためとはいえ、人間は変わるものであることを体現していたように思います。
気に入らないことがあったとしても、それはその人のやったことに対してであり、その人物を全否定しないというのが価値観だった。だから、誰からも好かれていた、そんな気がします。

享年78歳。合掌。