中学の生物の高柳先生は、ボーッとしていて隙だらけのようでしたが、実はアーチュリーの達人で、オリンピックの監督を務めたほどでした。
そんな立派な方だとはつゆ知らず、さらにボーッとして授業を受けていた私が、ひとつだけ記憶に留めていることがあります。
何の話からそうなったのかは分からないけど、先生がこう切り出したのです。
「昔、食べるものがなくて、パン作ってました」
ほとんど聞いていなかった夢心地の私は、ドッカーンという笑い声で現実に返り、隣席の級友に確認しました。
「何、今の何?」
外国人実習生が日本語を学び始めると、まず、平仮名を覚えます。
学習を定着させるために、日記を書かせると、見事に平仮名だらけ。これって、読まされるの疲れますよ。
句点はともかくも、読点がないこともあって、それはもう。
漢字の存在は、実に素晴らしく、長文を読むときに威力を発揮していることがわかります。
アルファベットだけで書かれた文を読むのと比べると、疲れ方が違うハズ。
趣味が読書だと言えるのは、漢字文化を持っている国に限るとさえ、思ってしまいます。
日本語を学習する上で、種類が多い漢字の存在は非常に厄介ですが、文字自体に意味がある漢字は、読解力を強烈にサポートしている。
これを面白いと思えれば、日本語力が一気に上がるのであります。