ビジネス漫画で王道を行く『課長島耕作』は、どんどん出世して、今は相談役に収まっています。
このあたり、途中で放り出す本宮ひろ志とは明らかに違う弘兼憲史の性格なんでしょうね。いずれ、名誉顧問とか引退後とかのシリーズが始まるかもしれません。
島耕作が、京都の販売店勤務のときの話、取引先の社内コンペに招待された彼が、早起きして会場へ向かうと「何しに来たのか?」と露骨にイヤな顔をされるシーンがありました。
招待状を受け取った取引業者は、「生憎都合がつかず申し訳ない」と景品(もしくは現金)だけを届けるものだと学びます。それが京都ルール。
アメリカ人だったら、激怒しますね。そんなのあり得ない。
これが、高コンテクスト社会と低コンテクスト社会の違いです。
世界一と言われる高コンテクストの日本社会では、単一民族の甘えもあって、すべてを言わずとも「空気を読む」ことが大切で、そのことこそがコミュニケーション能力であったりします。
だから、アメリカ人の対人能力は、たくさん話すことだし、日本人のそれは、察することだとなります。なるほどねぇ。
ところが、都会におけるコミュニケーションの達人も田舎へ行くと戸惑います。それは、常識が違うから。
エリートコースを歩む本社の人間が、転勤で地方へやって来て混乱するのは、そういう話です。言葉は通じるものの、常識が通じない。そこで、都会のルールで貫こうとすると、多勢に無勢で大失敗します。
昔の人は言いました。
「郷に入ってはひろみに従え」
そういう姿勢が大事なのであります。