高校球児は一途で純真だということをその著『女たちよ!』(文藝春秋)で真っ向から否定したのが伊丹十三氏です。
自身の経験から、野球部の生徒はズルい奴ばかりで、カンニングの技を競い合っていたというのです。
なるほど、本当にどうしようもない成績だと、進級がままならなくなるので、手段を選ばなくなるというのも悲しい現実です。
盗塁だと思っているかも。
加えて、寮生活が最悪です。毎日が修学旅行みたいになっちゃいますから。バレなければ、やってもいいという思考回路が出来上がるのです。
そんな風にしながら、成果を上げている裏で掟破りを行なっているアスリートは、意外に多いかもしれません。
そもそも何かに秀でているからといって、全てが優れているわけではありませんからね。大麻栽培を行ったり、保育園へのお迎え前にラブホへ行ったり、女性へ暴力を振るったり、ひき逃げしたり。
学びを疎かにしていた人ほど、危なっかしい。残存幼児性です。自分は特別だと思っている節がある。
そういう意味では、社会的な地位が上がるにつれて、安定していくわけです。してもいいことと、やっちゃいけないことの分別がつく。ようやくです。
西武ライオンズの二軍コーチが、選手の私物を窃取したということで、契約解除となりました。
ロッカールームというところは、誰もいないことが多いですからね。だけど、高額品が詰まっている。財布、時計、アクセサリー。その気があると、もう大変です。
そして、それをやったのが二軍のコーチだっていうところが問題です。聞いたことがない。普通、窃盗を企む人は、自分より貧しい人からの搾取は考えません。上司が部下の物を盗んだ例がないのはそういうこと。
だけど、部下の中に自分よりも明らかな金持ちがいたら、どうでしょう?西武の二軍には、二人ばかし、元一億円プレーヤーがおりました。
クルマよりも高そうな時計、ハメてからの出来心。残存幼児性ですからね。
そういう人をコーチにした球団にも非がないとはいえません。
欲しいから獲るって考え方もどうなんでしょうかねぇ?