『仁義なき戦い』や『極道の妻たち』を見終わると、観客はみんな眉間に皺を寄せ、肩をいかり気味にして外股でゆっくり歩いて出てきます。
ヤクザ小説もそういうところがあって、登場人物の広島弁のセリフを重ね、表情を作ったりして感情移入しながら読んでいます。
何でしょうね、子供が『仮面ライダー』を見て、変身しようとするような、そんな気持ちが湧いてくるのがヤクザものなのであります。
デタラメの中に、純粋が混じっていて、それが義理と人情だったりして、長所と短所が際立っているのが魅力なんでしょうね。こういうの、オンナにモテるかも。平凡の反対。
今回ご紹介するのは、『孤狼の血』(柚月裕子著・角川文庫)です。
作者は女性ながらヤクザ小説の第一人者で、リアルな描写は映画から学んだといいますが、それだけかと思わせるぐらいに本物に迫っています。
主人公の個性的なキャラクターにグイグイ引き込まれる453ページでした。面白い!90点。