賃貸アパートで有名なR社やD社の社員は、建築営業でノルマを課せられ、入れ替わりが激しいことで知られています。
農家などの地主さんを訪問し、アパート経営を勧めるという仕事ですが、入居者が埋まらなかったり、経年劣化による補修費用が発生したり、近隣に思いがけない競合物件ができたりで、予定していた収益が上がらないためトラブルが絶えないからです。
なるほど、持ってるものが大きいほどに、群がってくる者も多いわけで、油断なりません。
最近では、銀行の外回りがこの世界に参入し、シェアハウスが流行りだと言いながら、お金を借りてくれと甘く囁くんだそうです。
金利ゼロの時代、借りたがる企業には貸したくないので、担保が確実な土地持ちが狙われるのです。
不動産屋と違って銀行ですからね、説得力があるものの、やってることは同じ。詐欺まがいであると、滅茶苦茶嫌われています。このあたりは、似たり寄ったり。地方銀行や信用金庫では、リストラ含みで営業への配置転換を進めているようです。
私は知りませんでしたが、平成の徳政令と言われる中小企業金融円滑化法というのがあって、多くの会社が借金返済を先送りしていました。
これの期限が過ぎたことで、銀行は債権回収に本腰を入れざるを得ず、大混乱をきたしている現実があります。間近に迫る給与デジタル払いなんてのも、体力のない金貸しの収益を圧迫します。
相場英雄氏の最新作『EXIT』(日経BP)は、そこにメスを入れた経済小説ですが、いつもの相場作品と同じく、実名を挙げてはいないものの、あまりにもリアルで、また、解決策が見えない現実に打ちのめされました。官僚の不祥事なんかについても、裏側から見れば、もっともっとドロドロしていて、正義が勝つとは限らないことを思い知ります。国税の査察が、権力が握る最強カードだということも含めて。
うーん、後味がよろしくないのは、リアルだからこそですか?
説明調の文章が多いのが、ちょっと読みづらいかも? 83点です、ポンポーン。