数年前にお笑い芸人の母親が生活保護の受給者であることが発覚し、大騒ぎになりました。
受給者であるためには、本人が就業困難であることに加え、近親者の支援が期待できないことが要件となっており、その判断は行政側に委ねられています。
窓口には、大勢の訳ありの人たちが押しかけてくるため、充分な対応ができないこともあるのです。
警察じゃないので、そんなに根掘り葉掘り聞けませんからね。
担当者やその上司のさじ加減で差がついてしまい、市町村で実績に10倍以上の開きが出ています。
『パレートの誤算』(柚月裕子著・祥伝社文庫)は、市役所の生活福祉課に配属された社員が生活保護の闇に迫るミステリーで、さまざまな問題点を浮き彫りにしています。
なるほど、ケースワーカーと呼ばれる担当者が親族を訪ねたりするので、体裁もあって、そう簡単に申請できるものではありません。
しかしながら、担当者にのしかかるプレッシャーは相当なもので、同じ市役所職員だとすると、この配属先は貧乏くじだと思ってしまうかも。
いやぁ、これは面白かったです。
クライマックスの時間の経過が、ちょっと嘘くさくなってしまいましたが、それでも93点。流石は柚月裕子です。