都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

タイムマネジメント

将棋には八つのタイトル戦があります。

いずれも年単位の周期で行われており、それが五番勝負(棋王戦・叡王戦王座戦棋聖戦)あるいは七番勝負(名人戦竜王戦王将戦王位戦)なので、毎週のように闘いが繰り広げられております。

その中で、名人・王将・棋王と三つのタイトルを持つ渡辺明三冠が、現役最強と言われておりました。

現在進行中の棋聖戦は、新進気鋭の藤井聡太棋聖に渡辺三冠が挑戦するという形で始まりましたが、何と連敗スタートで一気にカド番に追い込まれています。

渡辺三冠の強みは、その時間の使い方にありました。

常に対戦相手よりも時間を残して戦うのです。その差は、終盤になって如実に表れ、接戦になるほど、効き目が出てきます。

負けにくい手を中心に読み込んだいくので、逆転勝ちがあっても逆転負けはない。だから、残り時間の差をもって、相手にプレッシャーをかけていく。そんな感じです。

負けにくい手というのも重要な要素で、そこのところ、AI(人工知能)の考え方に近いのです。

最近の将棋は、長手数であり、それはまた、AIの影響を受けたディフェンス力の向上ってことでもあります。

AIの化身、藤井棋聖はまさにそれで、終盤における間合いの計算とそのスピードが絶妙なんです。

 

棋聖戦第二局は、終盤を迎え、渡辺三冠が一時間近く持ち時間を余分に残していました。藤井棋聖は残り5分。それが、少しずつ渡辺三冠の時間を削り取っていき、最後には1分将棋に追い込まれ、立場が逆転したのです。

これは、ダメージが大きい。渡辺三冠は、得意としている部分をすべて封じ込められたのですから。

藤井棋聖は、73手目以降、終局の171手まで自分の時間を5分しか使いませんでした。相手が指したら、すぐに指すの繰り返し。そのプレッシャーは図りしれません。

世代交代したような、そんな気がします。