書棚を整理していたら、『“巨人の星”に必要なことは、すべて人生から学んだ。あ。逆だ』(堀井憲一郎著・双葉社)を見つけました。
20年前、タイトルに釣られて購入したものの、題名がピークで内容が尻すぼみだったような記憶がありますが、もう一度読んでみることに。
堀井氏は、何でも調べるフリーライターとして、長年週刊文春のコラムを担当しておりました。
反語を駆使した告白っぽい独特の文体は、中毒性があり、クセになります。
そんなわきゃねーだろって感じで、花形満が高校時代にスポーツカーを運転していたことや、相手に命中させるノックアウト打法は別にヒットコースへ飛ばしてもいいだろうなんて指摘してました。ほかにも、日給500円の日雇い稼業で長屋住まいにも関わらずブルジョア高校へ入学したとか、甲子園準優勝の残念会で闇鍋パーティーを開いたとか、東京の秩父山中が大雪で熊が出るとか、来日した大リーガーがみんな日本語を喋っているとか、まぁツッコミどころ満載のマンガです。だけど、ジャイアンツの選手は移動中のバスで、つま先立ちしてるってのは信じていました。
堀井氏らしいのは、主人公の飛雄馬が作品中で泣いた回数を数えていたこと。
何と全19巻で37回ですと。2位は伴宙太で22回。続いて姉の明子が20回。父・一徹が15回。実は『巨人の星』は、漫画史に残る涙の物語なのでありました。なーるほどね。