ニュースで床下浸水みたいな映像を見るにつけ、「ああいうところに住んでいる人は気の毒だなぁ」と全くの人事(ひとごと)だったのですが、まさかねぇ。
雨音の激しさに起こされ、ボーっとしながら窓外に目をやると、裏庭の駐車場がちょっとした池になっておりまして、愛車もタイヤが隠れるまでに。
ビックリしつつも慌てて着替え、高台を目指して緊急避難。
進めば進むほど、酷くなっているような…そういや、あっちも用水路があったななどと思いながら、対向車に追い出されるように、当初の予定と違うルートを。ヘタに走ると、溝にハマりますからね。停まったら動かなくなる気もするし、それも運命。
おっ、いつもお世話になっている居酒屋は、全くの冠水なし。平地に見えていても、数メートル程度の高低差があるものなんですね。水に浸かると標高がよく分かると変に感心してしまいました。
駐車場に停めさせてもらい、乗車時に車内に入り込んだ水のかき出しを行います。
こんなこと、プールのビニールボートでやったことあるけど、まさかクルマでやるとはねぇ。
30分ほど車内清掃して、お店でシジミ汁をご馳走になり、やれやれと帰路に着くと、
「エ~」
コントかと思いました。おへそまでびっちょり。
メコン川の行商人が野菜かごを頭に乗せて歩く、そんな情景がよぎります。
や、やべぇ~。
いっぺんに状況が悪化しておりまして、何とメゾネットタイプのアパートの玄関も階段まで床上浸水です。まさかねぇ。
咄嗟に水を汲み出そうとも考えましたが、すぐに無駄だと悟り、しばし呆然。住居は二階なので、いいようなものの…。
ここで笑いがこみ上げてくるのが、お坊さんの境地です。明鏡止水。ほんとかねぇ。
ん、止水?
水、止まりました。貯水池に害が及んで断水だと。
笑いますか、ワッハッハ。
午後になって雨がやみ、サァっと水が引いていきます。
自然のチカラの前に、人間は無力だと思い知らされました。
お店は、どうなっているのかしらん。
(つづく)
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2010年7月、山口県が記録的な豪雨災害に見舞われました。
当時、下関市豊田町で定食屋を営んでいた私は、隣りの菊川町に住んでいて、カントリーライフを満喫しておりましたが、田舎のインフラ未整備は想像を超えており、災害も指数関数的に酷いことになるというのを身をもって体験しています。
普段は気にも留めない農業用のちっちゃな用水路が溢れるだなんて、想像を絶するものでした。