都会のネズミと田舎のネズミ

時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。

冷たい檻

中外製薬のホームページには、薬剤の新規開発にかかるコストが500億円だと書かれています。

ごひゃくおくえん??

新薬開発の成功確率は三万分の一で、多くの場合、途中で断念するんだそうですから、さもありなんという理屈です。

さんまんぶんのいち??

ほとんどの努力が無駄になってしまうので、研究者には独特の資質が求められます。そんな確率で仕事をしている人なんて、ほとんどいないでしょうから、こういう仕事を続けている人はかなり変わっていると言えるかも。それを許す経営者もしかり。巨人ファンにはできない芸当です。

それにしても、コロナワクチンの場合、どのくらいの利益を生むのでしょうか?

昔から薬九層倍と言いますが、本当はそれどころじゃない越後屋っぽい業界なのであります。

 

『冷たい檻』(伊岡瞬著・中公文庫)は、寂れた地方都市に建設された複合福祉施設にまつわる人間模様が描かれています。

人口減少が進む田舎では、有力企業が少ないため、税収が期待できるわけでもなく、金のなる木を求めて、原発誘致だとか産廃施設建設などの補助金目当てで政治家が暗躍しており、福祉関係の事業も目をつけられやすい。施設ができることで建設業が潤うし、雇用が生まれますからね。舞台となった老人介護兼青少年更生兼児童養護施設にクリニックを併設した大型複合医療施設は、払い下げとなったかんぽの宿の建物を使って、中国の製薬会社をスポンサーとして迎え、再編成されたものです。この施設のそれぞれには、医薬業界が求めるちょうど良い特徴的な三世代の治験者が揃っているという構図。入居条件のハードルが極めて低いので、誰もがそこにい続けたいという心理が働いています。その代わり…。

この作家は、人間の描き方がすこぶる上手い。そして、モリカケ問題でも分かるように、福祉は金になるというのをイヤというほど見せつけてくれます。

敢えてダメを出すなら、最後の部分はいらなかったかな?偶然には程がある。その分、差し引いて95点でした。いや、面白かった。