その昔、竹村健一という人が「電話の長い奴、資料を持ちすぎの奴。この二つが一番仕事できまへんな。ボクなんか、これだけですよ、これだけ」と言いながら、小さな手帳を見せびらかすCMが流行りました。
キダタローみたいな独特の風貌で、パイプを咥えながら大橋巨泉をデフォルメしたような尊大な語り口は、自信に満ちておりました。英語がペラペラで、白人コンプレックスを感じさせない堂々としたさまは、いかにも仕事ができる人って感じで、私も影響を受けて、たくさんの著書を購入したのを思い出します。そういえば『世相講談』という彼の番組で、アシスタントを務めていたのが若き日の小池百合子。懐かしい。
このCMは、要らなくなった資料を捨てましょうというシュレッダーの宣伝だったのですが、できるビジネスマンは手帳を持つものだとのイメージを作り上げました。
その後、糸井重里が『ほぼ日手帳』を売り出し、毎年これを継続使用しております。電子手帳には、馴染めませんでした。
手帳メーカーの老舗『高橋書店』が毎年主催しているコンクールに「手帳大賞」というのがあります。
これは、思わずメモしておきたくなるような忘れられないひと言を競うもので、優れた名言の作品には100万円の賞金が与えられます。
先日、その授賞式が行われました。
最優秀作品には、「地面が満開になったね」という自分の5歳の子供が桜の散った様子を見て、思わず言った言葉が選ばれました。
詩人ですね。子供としっかり向き合って、それを聞き逃さなかった結果が100万円。チャンスは、アンテナの高いところへやって来ます。
個人的には、特別賞(賞金20万円)に選ばれた「掃除って、してないのは見えるけど、してるのは見えないよね」が一番でした。ハウスクリーニングのキャッチコピーにしたいぐらい。ダスキンに売り込めばいいのにねぇ。
応募作品は、58,000件だそうです。
来年は、挑戦してみようと思います。