国家権力がクロだとして突っ走ると、その結論を覆すことは難しくなります。
だから、法廷が決めた結論が100パーセント正しいわけではないけど、それが覆ることがないように、ざわざわするのです。
痴漢行為が一番多いんでしょうね。捕まってる率が低いし、冤罪率も高そう。裁判よりも前に、世間が判定を下しそうで、普段の行いも大事なんだろうなと思います。印象操作みたいなことも行われるんでしょうね、きっと。
そして、これに殺人が絡んでくると、簡単ではありません。死刑かどうかってことですから。
死刑が確定してその囚人が獄内自殺し、その後にその犯人が別にいたみたいなことになったら大変だよというのが、翔田寛の『冤罪犯』(角川文庫)です。
警察にとって、冤罪というのはあってはならないことなので、そんな可能性が出てきたら、必死にそれを隠そうとします。
ミステリーでは、このテーマで書かれたものが沢山あって、実際にそんなことがあるだろうなと思わせる、そんな作品。発想はさほど新しくないけど、描き方が上手いので引き込まれました。80点で合格です。
ところで、濡れ衣の語源は聖武天皇時代の博多にあって、証拠を捏造したところから始まったという説が有力ですから、これはもう昔からあったんだなぁと改めて思わせます。濡れ衣ねぇ。高知の白バイ事件を思い出しました。