ビートたけしの青春時代を描いた映画『浅草キッド』が話題になっています。
今はそれほどでもないのかもしれないけど、芸人の世界は師匠と弟子のような階級制度が存在し、入門してしばらくは下積みの時代が続きます。
それこそ、食べるものも我慢しながらの耐乏生活。
何より不安なのは、仕事がないことです。
時代なんでしょうね、そういうのが大事だと言われた世代。
お笑い以上に下積みが必要だとされたのは、和食職人の世界です。
アヒルと言われる追い回しから始まって、焼方、脇板、向板、脇鍋、煮方、立板、花板と序列があって、なかなかトップには立てません。
そうした修行のプロセスが面白いと連載されたのが『味いちもんめ』(あべ善太作・倉田よしみ画)でありまして、初めはヤンチャだった主人公が次第に経営者に近づいていくさまを描いています。いや、ある意味、成長過程が分かりやすい島耕作と並ぶ出世魚ストーリー。芸人と違って段階があるほうが分かりやすかったりします。修行を積んで店を持つ。こういうの、グッと来ますよねぇ。
上に進んでいくにしたがって、清濁合わせ飲むというのは、大事なことなのであります。