都会のネズミと田舎のネズミ

時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。

都庁爆破!

将棋指しは、理系か文系かの議論があります。

ひと昔前は、作家然とした風貌の人が目立ち、観戦記を始めとした著述活動を厭わない人が多かったので、文系のように思われていました。

理詰めで語ったとしても、素人には伝わりにくいので、感覚的な表現に頼ったところもあるかもしれません。

それが、羽生善治永世名人の頃から、理系が優勢になったような気がします。コンピューターの発達も関係あるでしょう。AIのスタイルに人間が寄せているようなところがある。

この話、左脳か右脳かの議論にも似ていて、文字や言葉から認識する左脳に対し、五感からイメージを広げる右脳の働きがあって、論理的である左脳派は理系、感覚的な右脳派は文系だと見られているようです。

将棋の場合、歴史の流れとともに変遷があり、スクラップアンドビルドの創造の時代から合理性を求める分析を突き詰めていく時代へと変わってきたのではないでしょうか。

 

作家は創作活動なので、右脳命であり、文系の最終到達点であるともいえるところなんですが、たまーに理系から流れてくる人がおります。

大阪府立大学工学部出身の東野圭吾は、そのトップランナーで『ガリレオシリーズ』で存分に知見を発揮しているのは万人が認めるところです。

そして、慶應大学工学部から大学院卒業後、通産省を経て日本原子力研究所に勤務した高嶋哲夫

二年前のブログで現在のコロナ禍を予言した同氏の『首都感染』を紹介しましたが、今回は『都庁爆破!』(宝島社文庫)です。

この作品は、2001年の911ニューヨークテロ事件をヒントに、同じようなことが東京都庁で起きたと想定したもので、全てにおいて警備システムが甘々な我が国では、テロリストのやりたい放題だということを実感させられました。

話の広げ方も、カリフォルニア大学への留学体験がある高嶋氏ならではの国際感覚であり、自身の経験が全て活かされている感じです。

普通は、理系の文章力に限界がありそうなものですが、その面でも高水準の筆力を見せてくれます。

冒頭から惹き込んでいくような展開も素晴らしい。終盤がちょっと、物足りなかったけれど、90点。面白かったです。