サッカー選手のピークは二十代後半に訪れます。
グラウンドを走りまくりますからね。スタミナがどれほど保つかの体力勝負では、30過ぎるとしんどくなる。三浦和良の場合、ほとんど終わりかけの終盤にチョロっと出場することで、お茶を濁しています。交替が限られるなかでは、使いづらい選手です。
ラグビーは、もう少し長くて、三十代前半という感じ。こちらは肉弾戦なので、身体の強さが第一で、瞬発力は二の次です。ポジションによって、求められる能力が大きく違うのと、交替選手の人数枠も多いこともあって、40手前まで現役を続ける選手も少なくありません。
相撲も似てるところがあります。こちらも体幹の強さが重要な競技で、スタイルにもよるけどスタミナはそれほど必要でない。だから、意外に長く土俵に立ち続ける力士がいたりします。
野球は、近年、選手寿命がぐーんと延びました。専門のトレーナーを置いたり、栄養学の勉強をしたり。コンディションを重視して、普段の生活で無茶をしなくなっているのもあって、三十代前半が一番いい時代だというプレーヤーが目立っています。
将棋の場合、脳の働きのピークが二十代で、その後少しずつ落ちていきます。しかしながら、経験値が上がっていくことで、コンディションの整え方や時間の使い方などペース配分が上手くなって、40代前半までは、トッププレイヤーでいられるようです。ただし、50を過ぎると急速に衰えてしまうのが通例です。やはり、年齢にはなかなか勝てません。
お笑いはどうでしょう?
アスリートよりは将棋指し寄りで、空気を支配する力が最も必要とされるので、なんと言っても経験こそ命。三十代で花が開き、四十代で爆発するのが王道です。なんか、サラリーマンに似ている。働き盛りが売れる時期に重なって、その世代の共感も得やすいのは、時代にシンクロする仕事ならではでありましょう。
しかしながら、この世界にも賞味期限がありまして、大体還暦を前に勢いがなくなります。
天才明石家さんまも離婚して生活感を消してはいるものの、武器にしていた色気が漏電し始めて、思い描いているような笑いが提供できなくなってきました。綻びが目立つようになっています。
『さんま御殿』もそんな感じでした。歯切れ良くポンポン突っ込みまくるのではなく、共演者たちが打ちやすいような球を投げて、笑いを引き出すような仕組みになっています。だから、業界用語で「裏回し」と呼ばれる通訳のような存在が不可欠となってまいりました。
昨夜は、出川哲朗、ヒコロヒー、若槻千夏という雛壇裏回し芸人が揃っていたので、爆笑につなげることが出来ました。なるほど、補助があれば、まだまだホームランを撃つパワーは健在です。そのための裏回し。制作サイドは、そのへんも意識しながら、出演者を決めている。そんな気がしました。