都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

瑠璃の雫

道志村の事件で切ないのは、失踪した子供が生きているかどうかがわからない状況の中で、骨や衣服の一部が見つかるなど、ハッキリしない情報が小出しにされて、ジワジワと追い詰められることだと思います。

誘拐事件は、ほとんど成功しない上に、厳罰が科せられるので割が合わないと言いますが、それは身代金要求をした時の話で、拐われただけの場合、迷宮入りしているのも案外多いのかもしれません。横田めぐみさんの拉致問題もしかり。犯人側からのアプローチが少ないと、手がかりとなるピースが足りないってことなんでしょう。

実際のところ、どうなのか?「警察には絶対に知らせるな」というメッセージに従う人もいたりするかもしれない。グリコ森永事件は、そんなことだったと言われてますからね。日曜ドラマの『マイファミリー』も、そうでした。

だから、誘拐のテーマはミステリーで描かれやすいんです。ネットで検索すると、ズラッと名作が並びます。まるで、教科の参考書みたい。そういうので予習している人もいるでしょうね。

一方で、すんごいお金持ちの人は、警戒してると思いますよ。自分の子供のリスクマネジメント。持ってれば持ってるで、大変です。年収がいくら以上だったら心配するもんでしょうか?

 

伊岡瞬の『瑠璃の雫』(角川文庫)は、誘拐事件を題材としたミステリーです。身代金がないパターン。自分の子供が生きているかどうかが分からないでいると、笑うことがない日常が続くということがよく分かりました。

だけど、それは救いがない。感情が一つ方向に偏り過ぎると、面白いもんじゃないなとも思いました。モヤモヤしたまま読み終わります。65点。