大学生による家庭教師のアルバイトは、ほとんどのケースが系統立てた理論や教育のない中で、個人の資質に委ねられて進んでいきます。
何せ、親からすれば、指導内容についてのチェックのしようがない。
だから、その学生が所属する大学の偏差値と本人の好感度、それに子供が嫌がっていない程度の相性を満たせば成立する、それにしては高額で条件の良い仕事です。
私の場合、自前のツールがあるわけではないので、市販の教材を購入させ、それに基づいて進めていくスタイル。行き当たりばったりでした。
もちろん、生徒が問題を解きながら、解らないところをフォローするなんてことは当たり前ですが、それだけではたいした進歩が望めない。だから、学習者自身をその気にさせる、勉強するのが楽しい、家庭教師が気に入っているという状態に持っていくことにエネルギーを注いでいました。
結果的には、そのやり方は正しいようで、動機付けこそが教育者に与えられた最大のテーマであると言われています。
とまぁ、そんな風に、なんとなく正解が出ることもありますが、これをしっかり体系立てて学んだ方が、よりスピーディーで効果的だということを身にしみて感じている今日このごろです。
学習についての考え方は、時代とともに変化するわけですが、最近はまた、徒弟制度のようなあり方が見直されているんだそうです。
まず、師匠が弟子に自分の技を観察させるモデリング。
しばらくして、実際にやらせてみてそれを観察し、アドバイスを与えるコーチング。
少し慣れたところで、足りない部分をちょっとだけ助けてあげる足場掛け(スキャフォールディング)。
そして、まぁいいだろうと少しずつ離れていくフェーディング。
マクドナルドやスターバックスなどのチェーン店では、そういう指導法が常態化しているんだそうです。
このやり方を『正統的周辺参加』といいます。
一般企業でも『メンター制度』の導入で、これに近いやり方が増えていて、やっぱり人間関係が大事であると改めて思うのであります。