初恋の女性がラフマニノフとバカラックが好きだと知って、訳もわからずレコードを買い漁ったのが音楽と触れ合う始まりでした。
クラシックは、学校の授業でも聴かされるので、馴染みがないわけではありません。バッハ・ショパン・モーツァルト・ベートーベン・チャイコフスキーを経て、ベルリオーズ・ドビッシー・ストラビンスキーに至るまで、随分と耳を鍛えたように思います。
そして、ジャズやボサノバに親和性があるバカラックサウンド。映画音楽に多く使われており、そういうのを聴いていれば、モテるような気がしていました。その延長線上にあるのが、マンハッタントランスファー・クインシージョーンズ・デイブグルーシン・チックコリア。好きな音楽ジャンルがどんどん広がっていきます。
衝撃を受けたのは、ガーシュインの存在でした。クラシックにこういう曲があるのかとビックリしたものです。スゴい音楽ってのは、ジャンル分けが難しくなるんだなとしみじみ思います。
さて、今野敏の任侠シリーズは5作で終わりと思っていたのですが、続きがありました。
『任侠楽団』(中央公論新社)は、公演間近のオーケストラが抱える問題をコンサルタントとして解決にあたる阿岐本組の面々が描かれています。それぞれのキャラが立っていて、本当にいるみたいに感じさせるのは、さすがの今野敏でありました。なかなかないですよ。読者に頑張れだなんて思わせる物語。寅さんを意識してしまいます。音楽に全く縁のなかった代貸が、少しずつ傾倒していく描き方も上手いなぁと思いました。ビックリするような事件は起こらず、ドキドキが今イチだったので86点。