男子たるもの、一生に一度やってみたいのは、連合艦隊司令長官、オーケストラの指揮者、プロ野球の監督だと言った人がいます。
なるほど、自分が決めた陣容で、思ったように駒を動かし、結果についての責任を負うというのは、誰もが憧れるところです。
連合艦隊ってのはありませんから、今で言えば、内閣総理大臣ってとこでしょうか?だとするならば、その仕事の中でも組閣人事は、肝でしょうね。自分で決められる喜び。その他のことについては、なかなか思ったようには出来ないのが現実である気がします。
今回の改造人事では、旧統一教会に関係していたかどうかが踏み絵となりました。ペルソナノングラータ。石破氏を叩いて渡るのが、岸田流であります。点を取られなければ、勝てると思っているわけで、特別にやりたいことがあるわけじゃない。いや、だとすると、そんなに楽しい仕事じゃありません。いつも見られている生活って、どうなんでしょう。
『総理にされた男』(中山七里著・宝島社文庫)は、意識不明に陥った総理大臣の替え玉として白羽の矢が立った総理に瓜二つの三流役者が、真剣に政治と向き合い、正論を尽くして国益を全うしようとする物語です。現実に、周囲の人間が気付かないハズもなく、荒っぽいストーリー展開となりますが、その青臭さは熱血青春ドラマを見るようでもあり、熱く迫るものがありました。人の上に立つ人間に必要なのは、志であると改めて思います。小説としては、ディテールが雑なので、84点。