都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

犬の報酬

国内の自動車保有数は約6,000万台で、国民一人当たり0、5台。これは、先進国の世界的な相場でもあるそうです。

そして、乗用車の平均使用年数は約12年。約6,000万台をこの12年で割ると500万台になります。これは、国内における年間の販売台数に近い。つまり、日本は買い替え需要しか存在しないのです。最早、成長産業とは言えません。

そんな業界の中で、自動運転というのはパラダイムシフトであり、生き残りをかけた開発レースが繰り広げられています。

もし、自動運転が当たり前になると、クルマは所有して乗るものから利用するものへと劇的に変化すると言われています。ITサービスとの連携が必須となり、自動車業界のバリューチェーンにおいては、ITサービスが最上位となり、最も付加価値が高いレイヤー(階層)となるのです。それでも製造だけに注力しようとすると、安価な大量生産モデルにシフトしない限り、既存メーカーが生き延びることは難しいという現実が待ち受けています。うーん、舵取りの方向が見えない…。

 

『犬の報酬』(堂場瞬一著・中公文庫)は、大手自動車メーカーが自動運転実験中に事故を起こし、そのことを発表しませんでしたが、内部告発で事実を掴んだ新聞記者がスッパ抜き、大騒動へと発展していく物語です。企業とマスメディアと警察、それに監督官庁が絡むところ、ヒリヒリしながら読みました。自動運転による事故をゼロか100かで見ようとすると、コロナにも似てなかなか前に進めないとも思ってしまいます。

会社のためなら何でもやるから犬の報酬なんだけど、登場人物に今ひとつ共感できませんでした。88点。