一人の作家がキャラクターを決めて、その人物について描き続けるのは並大抵の努力ではないでしょう。
常にマンネリとの闘いがあるからです。
『サザエさん』とか『ドラえもん』『こち亀』などのギャグ漫画は、登場人物の設定を変えず、社会の出来事だけを当てはめて、敢えて時代にリンクさせないという手法をとっています。チコちゃんと同じ、永遠の5歳です。
だけど、スポーツ漫画はそうはいきません。戦いを続ければ、時間の経過も描かざるを得ず、長期に連載するのは難しいのです。
弘兼憲史は『課長島耕作』で、登場人物を時代と同時進行で進めていくという技法を開発し、新しいジャンルを切り開きました。ビジネスマンはそう簡単に引退しませんから。平社員から始まった島耕作は、双六のように企業戦士として昇り詰め、社長→会長→相談役を経て、まだ続いています。74歳で迎える新シリーズは社外取締役ですと。まぁ、夢がありますよね。それが漫画の世界です。
その一方で、一向に歳をとらないのがゴルゴ13です。アクションスターですからね。せいぜい設定で許されるのは40代ってとこでしょう。1968年から年齢不詳でキャラを変えることなく、コミックは今月発売で206巻となりました。さいとうたかを氏は、既に亡くなったものの、彼の遺言により、そう簡単に終わらせるつもりはないようです。彼のプロダクションには、ブレーンとなる優秀なスタッフが10名以上いるそうですから。
高齢社会では漫画も長寿でありまして、私の書庫は、こうした長期連載ものが恥ずかしいくらいに並んでいます。欠番なく並んでいるのを眺めるのが楽しい。悪い趣味だねぇ。