第8位 スポーツマン金太郎(寺田ヒロオ)
昔の少年漫画は、等身大の子供が主役でした。登場人物に自分を映す。
だから、『鉄人28号』(横山光輝)の金田正太郎は、拳銃を撃ちまくっていたし、『もーれつア太郎』(赤塚不二夫)は子供ながら八百屋の経営者です。漫画は不可能を可能にするのであります。『巨人の星』(川崎のぼる)の花形満は高校生でもスポーツカーを乗り回していました。
金太郎の場合も学校に通わず、いきなりプロ野球のマウンドに。しかも、相棒のキャッチャーはクマです。夢があるねぇ。
ライバルは大洋ホエールズの桃太郎と阪神タイガースのターザンでした。もう、なんでもあり。
かと思いきや、他の登場人物はすべて実名です。川上監督だし、長嶋茂雄だし、王貞治も広岡達朗も。セリフもあるので、実写版みたいになってました。ギャラは生じてなかったのでありましょう。
ジャイアンツに乗っかれば、何だって視聴率を稼げました。加えてのおとぎ話連合。完璧です。
今だったらどうなんでしょうね。肖像権の問題がありますから。『あぶさん』や『ドカベン』の水島新司だけは、特別扱いされたようですけど。
うーん、野球漫画の衰退は、この辺にあるように思います。
『アパッチ野球軍』(梅本さちお)や『アストロ球団』(中島徳博)は、野球漫画とは思えなかったもんなぁ。
(つづく)