都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

招からざる客

宮沢賢治の『注文の多い料理店』は、童話と言いながら、むしろホラーの様相を呈しており、読み終わって題名に納得する趣向が何とも粋だと感じました。タイトルに捻りがあると、大喜利みたいで嬉しいです。

『君の膵臓をたべたい』とか『限りなく透明に近いブルー』とか『そして誰もいなくなった』なんてのも、何だろうと思わせます。

そして、キャサリン・ヘップバーン主演の名作映画『招かれざる客』(1967年)が、昨日のBSで放映されました。

招かれざる客とは、望まない娘の結婚相手が突然家にやって来るという設定のことで、アメリカの複雑な人種差別の様子を的確に捉えています。

進歩的とされる新聞社社主の社会的主張と本音に揺れる葛藤、母親と父親の違い、宗教的なものも感じさせるアメリカ的家族観、奴隷制度の名残りともいえる黒人の屈折した感情などが見事に詰まっていました。黒人と白人の立場を象徴した心理劇は、ほとんど余計な情報を入れておらず、それぞれの役者が表情で演技を競い合っており、最後のスペンサー・トレイシーによる長ゼリフは秀逸でありました。

男はつらいよ』が描いている世界観に通じるし、三谷幸喜の舞台のようでもある。55年も前の映画なのに、古さを感じさせません。こういうの、教育の現場で若い人たちに見せたいなと思いました。

それにしても、アメリカの金持ちは、スゴい暮らしをしています。一代で築き上げた新聞王というのも、アメリカンドリームなんだろうな。