都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

朽ちないサクラ

柚月裕子という女流作家は、何人もいるんじゃないかと思うほど、作品によって印象が変わります。

『狐狼の血』シリーズでヤクザ組織を過激に描いたかと思えば、佐方貞人シリーズでは正義感にあふれた検察官や弁護士の姿を映し出す。『盤上の向日葵』では、頂点を極めようとする将棋指しの闇を描きました。

いずれの作品も人物描写が優れています。特に男性の描き方が上手い。なので、ストーリーに入り込んでいきやすいんです。パターンが豊富なのもいい。飽きませんからね。

『朽ちないサクラ』(徳間文庫)は、地方警察の生活安全課がストーカー被害の届出受理を引き延ばし、慰安旅行に出かけた際に起きた殺人を未然に防げなかったと、新聞にスクープされたところから始まります。大失態です。県警広報部門に勤務する主人公は、親友の新聞記者に飲みの席でふと漏らした社員旅行の土産物の話がすっぱ抜かれたきっかけ、つまり自分の責任ではないかと思い悩みます。ところが、事件はそれだけで収まらず、連続殺人へと発展。新興宗教とそれをマークする公安警察を描きました。

本作は、桶川ストーカー殺人やオウム真理教事件を思わせる背景の中に潜む問題点をあぶり出しています。警察には警察の事情があるってとこも、ちゃんと抑えながら展開させていきました。

結末がバタバタと終わらせた感じで呆気なかったのは減点。80点。