2年前にテレビ東京を退社した佐久間宣行は、辞めた後も同社のプロデューサーの仕事を続けています。
お笑い芸人たちの圧倒的な支持を受けており、彼の存在なくしては番組が成立しないぐらい、信頼を集めている稀有な存在です。
どうしてそこまで人望があるかというと、その生き様がサラリーマンっぽくないからです。
(1)お笑い愛を公言し、芸人の声に耳を傾けて、演者がやりやすいような環境を整えようとする。
(2)もともと上昇志向がなかったため、組織のイエスマンとならず、自分の守備範囲を明確に打ち出した。
(3)ネガティブな言葉を封印し、芸人たちを腐すようなことを陰でも言わない。
業界では、放送局が絶対的有利な立場にあるので、芸人に上から目線で接することが多いんです。使ってやるから言うことを聞けって感じ。
お笑い芸人の多くは、本業での生活が成り立たず、ギリギリで暮らしていたりするので、何でもやるから仕事くださいと考えています。それで、一方的な関係性になりやすい。使う側が調子に乗るわけです。
だけど、佐久間宣行は違いました。お笑い芸人に愛がある。なので、芸人たちからも愛されるという構図です。
『ずるい仕事術』(ダイヤモンド社)は、サラリーマンに向けての会社における処世術が描かれています。
版元がダイヤモンド社ですからね。カテゴリーはビジネス書の範疇です。内容はこんな感じ。
・会社や上司とぶつかりそうなときは、自分を下げよう。
・人が他人を攻撃するのはメンツを潰されたときだから、メンツの地雷を踏まぬよう気をつけろ。
・いつも悪口を言う人だと認識されると、自分のブランドが汚れてしまう。
・他人は自分に興味がないので、自分を売り込むためにはしつこく伝える勇気を持て。
・自分の器と現在の立場が合っておらず、イライラしている人を見つけたら、それが売れる人だ。
・みんなのモチベーションを上げる方法は、リーダーが誰よりも本気で楽しそうに働くこと。
・人は褒められれば必ず記憶に残るということを忘れてはならない。
・運は愛想と誠実さによって架けられた「信用」という名の橋を渡ってやって来る。
・自分の機嫌は自分でとる。これができる人の元に運がやって来るのだ。
ちっともずるくないでしょう? 非常に賢い仕事術です。
彼がずるいと卑下しているのは、処世術として上を目指さなかったこと。だけど、偉くなってしまうと現場を離れてしまいます。だから、もっとスゴいことを考えました。フリーになって、今まで以上に自由な時間とお金を手にして、束縛から解放される方法です。前提にあるのは、その分野を極めた才能であり、誰にでも当てはまるもんではありません。。そして、インパクトの強いタイトルで本を書く。そうか、そういうことだ。やっぱ、ずるいねぇ。