近年、注目されている学問が「地政学」というジャンルです。
日本の大学にこれを専門とする学部はありません。国際政治学科が近いのですが、ようやく脚光を浴びている学問だとと言えるでしょう。
国と国との関係を見る場合、地理的な問題を抜きに考えられないからです。
我が国の場合、お金持ちの家に産まれた子供のようなもので、他国との関係性をさほど意識していなくても、平和でいられた条件が整っていたってことです。
そのことを分かりやすく解説しているのが『13歳からの地政学』(田中孝幸著・東洋経済新報社)です。
・アメリカが世界を仕切っているのは、海を支配しているからだ。
・中国が南シナ海に拘っているのは、原子力潜水艦を据えておきたいからだ。
・遠くの国と交わって近くの国を攻める、ひいては攻められないように準備する「遠交近攻」というのが、外交の定石である。
・長い陸続きの国境は、領土を守るのに大きな困難が伴う。
・この100年の間に世界の国の数は、2、5倍に増えている。その多くの理由は民族問題である。
・ロシアには190、中国には56の民族がおり、治安維持のためにかなりの人とお金を割いている。
・資源大国のアフリカが貧しいのは、お金が欧米などに流出しているからだ。
・朝鮮半島のように大国に囲まれた土地は争いに巻き込まれやすく、独立を保つのが難しい。
・アメリカは気候的に、また隣国との接点が少ないという地理的に恵まれており、しばらくは強い国であり続けるだろう。
本書は中一と高一の兄妹が、アンティークショップの老人に教えを乞う形で進められますが、読みながら思ったのは、自分もそのレベルだなってことでした。いや、池上彰さんの解説よりも分かりやすい。勉強になりました。