刑事の仕事をしている場合、定時に帰るどころか、家に帰られないこともあるわけで、マイホームパパみたいな人はいないでしょう。
だけど、働き方改革があちこちで言われると、どうするんでしょうね。パワハラのこともあり、警察の中では、建前と本音がぐちゃぐちゃになっているように思います。
『アナザーフェイス』(堂場瞬一著・文春文庫)は、妻に先立たれた腕利きの刑事が、8歳の息子がいるために前線を退いていたものの、上司に買われていて誘拐事件に駆り出されてしまい、亡くなった妻の母親に子供の世話を頼まざるを得なくなるという話です。それが、もう一つの顔(アナザーフェイス)。
刑事が本気で仕事に打ち込むと、家族を顧みることは難しくなり、そのことでプライベートの人間関係がギクシャクする、そういうものです。両立はできません。だから、力技で嫁に理解させるのが定跡のようですね。それが刑事の世界らしい。それを支える嫁がいなくなると、大変そうだというのが良く分かりました。
けど、あまりに所帯地味ていて、この小説、ミステリーっぽくありませんでした。刑事が自分のことを僕っていうのもヘンだし…。80点。