都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

海が見える家

ご当地山中湖では、御殿場の自衛隊が朝からドンパチやってます。

砲弾の地鳴りはカミナリ級で、もっと近くに住んでいる人は大変だろうなと思います。

なので、戦闘機の騒音に苦しむ住民の苦労もちょっとは分かる。私がここで暮らすのは、夏の間、四か月程度ですが、もしかしたら冬場はもっと大胆なのかもしれません。

 

このあたりは、いわゆる別荘地で、ほとんど人が来ないような古い建物も少なくないんです。だから、犯罪グループに狙われそうなところだけど、実際にはそんな話は全くと言うほどありません。何故か? それは、あたり一帯を富士急が管理しているからです。管理料が月額数千円。普段から、警備の車が巡回しているし、月に一度、家の中まで覗いて、何事もなかったとの報告書を送るシステムになっています。

その他、別料金で清掃やケータリング、改築や内装の仕事も発生するので、いろんな業態の独占企業。なかなかのビジネスモデルです。

競争相手がいない上に、どちらかと言えば富裕層相手なので、価格を高めに設定しやすいってのがポイントです。世の中、値段を気にしない人が一定数以上いて、それが集まっている。会員制のバーと考え方は同じです。客単価が高い、競争するつもりがない、時間的な余裕がある…サービスの濃度も濃くなるわけです。

 

『海が見える家』(はらだみずき著・小学館文庫)は、突然に仕事を辞め房総に移り住んだ疎遠にしていた父親が急死して、その後始末に向かった息子が見知らぬ土地でいろんな発見をするという物語です。父親は、近隣の別荘の管理人を請け負っており、その仕事を通じていろんな人々に頼りにされていました。特別に大きな事件もなく、色恋沙汰もない。平凡な日常が流れていくんだけど、心がほんわかします。

「孝行をしたい時には親はなし」などと言いますが、しばらく離れていたりすると、家族のことでも分からないことだらけだと身に沁みました。

こういうハートウォーミングな小説は、性に合わないけど、なんとなく自分と似た主人公だったので84点。幸せについての教本でありました。