都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

未明の砦

昔、勤めていた外資系の保険会社には、労働組合というものがありませんでした。

アメリカ本社の意向で、そういうものを極端に嫌っており、早い段階で社員厚生会というそれに変わる組織を押し付けて、経営サイドが社員と労使交渉を行うようなことがないようにしていたのです。

それは、戦後、GHQが民主主義を定着させたように、有無を言わせない手法でした。必要以上に労働者側の声が大きくならないように考えた、転ばぬ先の杖です。社員の方では、取り立てて会社と対立するような関係性でもなく、待遇もそこそこ恵まれていたので、不満の声も上がりませんでした。

だけど、私はアメリカ人の考えの中に、組合的なものや共産思想を極端に毛嫌いしていること、引いては反抗的な態度を許さず上から目線で日本人を支配しようとする姿勢がそこかしこで見られたのに嫌悪感を持ち、最後まで完走することはできませんでした。

 

これは、外資に限らず日本企業でも同じようなところがあり、労働組合が馴れ合いの御用組合となって、条件面でほとんど対立することなく、経営側の意のままになっているのが現状です。いつの間にか社員の半数近くが非正規雇用となり、低賃金のまま都合のいいように使われて、貧困国に成り下がってしまいました。情けない話です。

労働者の声を代弁するような政党の存在がかすれているのもなんだかねぇ。どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?

 

『未明の砦』(太田愛著・角川書店)は、大手自動車メーカーの非正規雇用社員を主人公として社会正義を訴えた物語です。途中、冗長な部分も目立ったものの、国民一人ひとりが考えようとせず、自分の周りの問題を追うことに精一杯で、社会全体に視野を広げていないことを痛感させられました。作者は、テレビドラマ『相棒』をヒットさせた脚本家で、反権力をテーマとするためにいろいろと迫害を受けるようですが、頑張って欲しい。て言うか、テレビも新聞も政府の言いなりでだらしないと思う。違いますかねぇ?

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 20点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 17点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 17点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 19点

【合計】89点