都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

白鳥とコウモリ

横浜で営業をやっていたとき、会社のルールでは自分のクルマを持ち出してはいけないことになっていましたが、現実の効率を考えて、使いたい放題していました。本社から離れた組織は治外法権のようなことが、勝手に認められていて、怒られないように上手くやるってことが企業文化でもあったユルい時代の話です。

ある日のこと、野毛界隈の狭い道を急いでいた私は、交差点で接触事故を起こしてしまいました。コツン程度ですが、完全な一時停止を怠ったこちらに分が悪い。くたびれた営業車からのそっと出てきた男は、ヘラヘラしながらこちらの様子を舐めまわし「一万円でいいよ。お互い、その方がいいっしょ」と提案。何をどうすれば良いか混乱していた私は、即座に乗っかりました。領収書も何もない、取っ払いです。

その後、この件に関しては何もなく、事なきを得たものの、本当は何が正解だったのか分かりません。相手が面倒臭くなくて良かったってのは間違いない。まぁ、ダメだと言われてることの横紙破りをすると、ロクなことにならないのを薄く学んだ次第です。

 

『白鳥とコウモリ』(東野圭吾著・幻冬舎文庫)は、弁護士を殺傷したと出頭した男が、同時に時効となった30年前の事件の犯人でもあると自供し、そのことに疑問を持った息子と被害者である弁護士の娘が複雑に絡みながら、真相究明に乗り出すという話です。稀代の詐欺師と交通事故で関係してしまったのが不幸の始まりでありました。筋の悪い男との接触事故にドキッとします。

物語には、別々の立場から四人の弁護士が登場し、それぞれが実際にありそうな言動をとるところが実に巧い。架空のキャラが生き生きと動き出すのが東野ワールドの真骨頂でもあります。文庫版では上下二巻の長編ですが、会話がドラマの脚本のように流暢で一気読みでした。超オススメです。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 20点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 18点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 20点

【合計】96点