都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

賞金の使い道

以前、勤めていた保険会社は、何かと社内コンテストみたいなイベントごとが好きで、社員全員の参加を煽っていました。

その中で、長く続いていたのがQCサークル大会です。

QCとは、クォリティーコントロール(品質管理)の略で、主に工場勤務の人たちに業務改善の習慣をもたらすため、そのプロセスを理解させながら、発展していった経緯があります。定量的な業務には向いている手法だけど、数値目標を持ちにくいサービス関連の業務にとっては、なかなか厄介な課題でありました。なので、保険会社で大々的に行なっていたのは珍しかったかもしれません。

しかしながら、サークル活動を行うというプロセスに教育的な効果があり、また、大勢の前で発表を行うということを通じて、プレゼンテーション能力を磨く上では、格好の舞台でもありました。

日常業務の中で、やり方を変えるという発想を好む人は意外に少ないんでしょうが、ルールを守るのが苦手で飽きっぽい私にとっては、改善というのが大好物で、このビジネスゲームにおいては独壇場。私が絡んだチームは、毎回のように賞金(3〜5万円)をかっさらっていたのです。やって当たり前の本来業務なんか、ちっとも面白くなかったけど、賞金が貰えるのは嬉しい。

 

で、この賞金の使い道ですが、普通は5〜6人のサークルメンバーでちょっと豪華な食事をして終わりなんだけど、普段から後輩へ奢りグセのある私にとっては、面白くもなんともない。

そこで、あるときメンバーを競馬場に誘い、賞金を増やしてもっと豪遊しようと提案しました。忘れもしない第48回皐月賞

他のみんなは競馬初体験で、一人の女の子は両親にメチャクチャ怒られながら来たそうです。競馬のイメージが悪いころの話ですからね。三連単がない中央競馬会(今はJRA)の時代。若い女性は場内にほとんどいませんでした。

3Rめぐらいに入場し、社会科見学です。パドックなんか覗いても、何だか分からないけど、それなりに気分が高揚しているのが分かります。私はこの日絶好調で、5Rやって3つで当たり。3万円のプラスでした。その勢いに乗っての皐月賞は、130倍が付いた連勝の一万円分馬券購入を始め、手堅いところも含めて、手広く投入し、自分だったら絶対に買わない一レース5万円のブチ込みです。興奮するわ。

レースは、9番人気のヤエノムテキという伏兵が勝利。二着は14番人気のディクターランドで枠連の1ー8は6,940円でした。今思えば、名前がいいね、ヤエノムテキ。だけど、3枠トウショウマリオから流していた我がチームはかすりもしない惨敗です。結局、帰りの居酒屋でメンバーにご馳走させられて、夢は叶いませんでした。残念。

 

その話とはちょっと違うけど、ある年に行われたQC大会の打上げ懇親会で、翌年の山口支社異動となった私を見つけた社長が、「ワカバヤシさんは、新設の山口に異動ですね。あそこは、フグが美味しいんですよ。私が知ってるお店があるので、(QCサークルメンバーの)みなさんを連れていくといい。秘書に連絡先を聞いてください」と。

当時34歳だった私は、社長に声をかけられるなんてことはほとんどなく、言われるままにお店を6人で予約しました。何でも安倍晋三さんから紹介してもらったお店らしく、杉並の住宅街にある一見さんお断りの隠れ家で、一日に一組しか入れません。ヤバい、高そう。

そう言えば、行ったらいいとは言われたものの、ご馳走してくれるとは言われてない。成り行きで、こうなってしまったんだけれど…

席に着くなり、「お飲み物は?」と聞かれたので「取り敢えずビールを」と言うと、女将さん「ビールはいけません。発泡系のお酒は味が分からなくなる」だと。「え〜っ」じゃあどうすればいいかと尋ねると、「ひれ酒です」ときっぱり。最初から言ってよと思いながら、いろんな作法が分からないから、みんな固まってしまいました。楽しいはずの会食が、知り合いのいない通夜振る舞いみたいな感じ。キツいわ、これ。ほとんど会話することなく、淡々と食事が進みます。だけど…

フグのフルコースは想像を絶する豪華さでした。てか、政治家はこんなもん、しょっちゅう食べてるんだねぇ。羨ましい。

雑炊で締めて、水菓子が出て終了です。そして、緊張のお会計。一人当たり、飲み物込みで5万円でありました。6人だから30万円。当時3%の消費税が9,000円です。

これが、私の自腹最高新記録です。ここに書き留めて、少しだけ回収したつもりになっています。