落語というものがテレビとの相性が悪く、多くのお笑いファンから目を向けられなくなって久しいです。
ネタが長いですからね。大体が30分前後。加えて、本編に女性や職業蔑視の放送禁止用語が多いため、馴染まないのが理由です。
それで生き残ったのが『笑点』のスタイルで、落語とはああいうもんだと思っている人が多いのは罪深い。無料の公開放送に集まるお年寄りがターゲットなので、ベタな笑いの繰り返しが多く、退屈なんです。そのせいで、お笑いとしては、漫才コンビやコント師よりも下に位置付けられてしまいました。スポンサーとして老人用おむつやお線香の会社が支えているので、反省もありません。むしろ、マンネリが求められている。
もともと、落語という話芸が古典に基づいた繰り返しですからね。本人たちも、マンネリに疑問を持っていないのが停滞の最大要因です。衣装が着物ってのも、なかなか。
神田伯山みたいな平場に強い、機転のきく若手がいればいいんだけど、バラエティで頑張るのが立川志らくだとイメージが良くないです。本当に談志の弟子なんですかね。そういえば、志の輔はどうしているんでしょう。最近、見ませんね。
私にとって、お笑いの神は、亡くなった桂枝雀師匠です。
初めて高座を見たときは衝撃でした。喋りは当然のこととして、表情と声色変化の天才でありまして、どうってことのない事柄を爆笑に変えてしまうのです。空間を支配するような感じ。喩えるのが難しいので、一度是非見ていただきたい。
NHKプラスで8月6日まで視聴可能です。お題は『貧乏神』。私は彼の落語CDをほとんど購入いたしました。友人が入院したら、必ず貸し出すようにしています。返してもらうのがセコいけど、生還率は100%です。とにかくオススメなのであります。