都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

暗殺

90年代の中頃に保険会社の広報担当であった私は、大手新聞社に顔つなぎで出入りしておりました。

当時の印象として、付き合いやすかったのが毎日と日経。産経と讀賣は普通でしたが、圧倒的に感じ悪かったのが朝日新聞だと記憶しています。

何せ、受付の女性が酷かった。まるで、上から「できるだけ感じ悪くするように」と指示されているかのような気さえする態度で、いい気になってるなぁと思っていたのですが…

狙われていたんですね。赤報隊に。それが1987年5月3日のこと。

事件後に犯行声明として東京本社に送られた手紙には「とういつきょうかいの わるくちをいうやつは みなごろしだ」と書かれており、その脅迫状に同封されていたのは使用済みの薬莢2個でした。つまり、統一教会霊感商法を批判する記事を展開していた朝日新聞に釘を刺したのが、阪神支局襲撃事件だったのです。この事件で未だに犯人は逮捕されておらず、時効を迎えております。

 

『暗殺』(柴田哲孝著・幻冬舎)は、山上容疑者による安倍晋三元首相暗殺事件をモチーフにした作品で、フィクションだと言いながら、まるでノンフィクションのように描かれています。

この事件の公判は未だに開かれておらず、謎が多いのに警察の動きが鈍く感じられます。

犯罪を扱ったドラマや小説では、背後に政治家が絡んでいて、警察や検察に圧力をかけるとか、防衛省の関係者が右翼と結託し、暴力団を動かすとか、アメリカ合衆国政府がCIAのスパイを送り込んで要人を抹殺するなど、いろんなストーリーが繰り広げられますが、実際に迷宮入りする事件や有力者が突然に謎の自殺を遂げるって話が多く、本当にやっちゃってるケースも少なくないんじゃないかと思います。

安倍シンパによるアンチコメントが溢れているのも、芯を喰ってるからこそ。

とにかく、手に取って読んで欲しい、話題の一冊です。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 20点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 17点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 19点

【読後感】爽快感・オススメ度 19点

【合計】93点