コロナ感染パンデミックの中で、生活を歪められた人はどのくらいいるんでしょうか? 私は7年前に飲食業界から足を洗ったのですが、続けていたらどうなっていたかと思うとゾワっとします。いつ終わるのか先が見えないのが不安すぎるし、世間の同調圧力がジワジワと自分たちを取り囲んでいくプレッシャーが堪りません。
そういうとき、正解を求めてジタバタするのが一番良くないんでしょうね。防空壕に入り込むみたいにじっとしているべきで、動けば動くほど沼にハマっていったように思います。アクリル板って、どこへ消えていったんだろう?
『ツミデミック』(一穂ミチ著・光文社)は、コロナ禍を題材に、本当にあったかもしれないと思わせるリアルな短編集でした。
一つの話が40〜50ページ足らずの小説は、読者を引き摺り込むのが難しいものですが、この作家は並々ならぬ技量でまとめ上げています。冷めた感じが独特で素晴らしい。直木賞受賞も納得です。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 20点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 18点
【合計】90点