今までに一番恥ずかしかったことと言えば、通勤の満員電車における京王線事件です。
25年前の話、聖蹟桜ヶ丘に住んでいた私はいつものように乗り込むと、同じ会社で他部署の上司Kにバッタリ会いました。
この人、社内では有名な問題児(?)で、九州の大名の末裔らしいんだけど、あっけらかんとした物言いが、天然なのかバカなのか分からないようなところがあり、相手が誰であろうと一向にひるむところがないのも不気味で、私は超苦手だったのです。同じ駅を利用しているのは知っていたのですが、広報部の私は朝刊チェックのため早めに通勤しているので時間帯が違い、それまで一緒になることはありませんでした。その日は、少しだけ寝坊したため、運悪く遭遇してしまったのです。
朝の挨拶を交わしつつも、共通の話題がなく、しばらくは無言が続きます。
と、じっと私の顔を見つめていたKが、車両全員に聞こえるような大きな声で、やおら切り出します。
「あんた、顔デカいねぇ〜」
これって、自分でもネタにしているし、関係者の集まりであれば何ら問題ないんだけど、そこは知らない人ばかりでの出来事。
周囲のみんなは、そおっと確かめに入ります。そして、微妙なリアクションの数々が生まれました。何とも言えない空気が漂います。これはキツい。お前のケツ汚ねぇなならともかくも、大きい顔は見たまんまですからね。
やっぱ、思いました。この人はバカなんだ。
若者の間では、デリカシーのない人のことをノンデリと呼ぶんだそうです。
最近は、ちょっと尖ったことを言うとあっという間に炎上するので、言葉に敏感になっており、その程度が過剰とさえ思えるのですが、逆をやり続けるとバチが当たります。
フワちゃんねぇ。言葉を反芻する習慣がないと、致命的な失言は時間の問題なのであります。