都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

官邸襲撃

日本国内で大規模なテロが起こらないのは、社会に不満を持って破壊衝動を抱く人を吸収するような団体が存在しないからだと言われています。そういう人間は、家族や親族の中に閉じ込められるにとどまり、欧米のように独立した個人として突き放されるようなことが、ほとんどないからだとする説が有力です。思想的な結びつきからデモが起こりにくいってのは、良いことでもある?

それに、大量殺人兵器としての銃器が手に入りにくいってのもあります。島国ゆえの閉鎖性も他国の組織が仕掛けるテロ行為に対する安全弁となっています。今のところ、毛色の違う外国人は目立ちますからね。

だから、大地震が起こるほどには、大規模テロに対する備えがありません。いいような悪いような。


『官邸襲撃』(高嶋哲夫著・PHP文芸文庫)は、 日本初の女性首相とアメリ国務長官が官邸での会談中に、テロ集団に襲われて官邸を占拠されてしまうという話。これもまた女性で初めて首相付きのSPとなった主人公が、重傷を負った上司の指示のもと、たった一人でテロ集団に立ち向かいます。アメリカの映画では『エンド・オブ・ホワイトハウス』など、大統領官邸をテロリストたちが襲うというシリーズで話題となりましたが、日本で同じような設定を考えたこの作品には、ちょっと無理があるように思いました。いろいろ知り尽くしたスーパーヒーロー、しかも日本人の女性ってとこ、無理でしょう、いくらなんでも。

まぁ、平和ボケした頭を揺り起こす程度の刺激にはなりましたが…。

極端な思想を持って、何かに立ち向かおうなどと本気になることがないよう、頭の良い人に対しては、適度に社会全体でおだてておいた方が良いのであります。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 15点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点

【読後感】爽快感・オススメ度 15点

【合計】78点