プロ野球の守備について、実は球場によって守り方が違うということをご存知でしょうか?
私は野球観戦に行くと、内外野の守備位置と投球後の野手の動きに注目しています。
内野手は、総じて天然芝の球場で前で、人工芝だと下がって守るのが原則です。外野手も同じで、天然芝だと転がった打球の速度が遅くなることを考慮するし、選手たちはダイビングキャッチを厭いません。
そして、天然芝グラウンドでは大小合わせてイレギュラーバウンドが多くなってしまうため、どうしてもエラーが多くなってしまいます。
だから、失策数だけでは、チームの守備力を測ることはできないのです。
ちなみに、2020年から5年間の球団別失策数は、以下のとおりとなっています(今年は8/26現在)。
広島 73→80→73→82→50
巨人 43→45→82→54→40
阪神 85→86→86→85→76
DeNA 52→73→64→69→75
ヤクルト 65→79→69→70→55
中日 51→56→66→79→52
ソフト 57→57→59→52→43
日ハム 75→76→86→94→61
ロッテ 53→73→70→83→63
楽天 61→64→49→82→49
オリ 60→75→75→60→60
西武 69→65→86→76→55
現在、フランチャイズの球場が天然芝なのは、セ・リーグでは甲子園とマツダ、パ・リーグでは楽天パークとエスコンの4チームだけです。甲子園が天然芝だというのは外野だけで、内野は今どきプロでは珍しい土のグラウンドです。高校野球で一日に4試合が組まれる甲子園の場合、芝生の手入れが追いつかなくなるので、出来ないんです。見た目キレイなのは天然芝なんですけどね。炎天下でも焼けるほどには熱くならないし。
だけど、コストがかかるのが致命的で、エスコンフィールドは来季から人工芝に切り替わることが決定しています。
それと、マツダスタジアムの内野が守りにくいというのも定評となっています。天然芝と土で打球の跳ね方や勢いが違うからで、カープの内野手は、それを意識して守っているんです。
実際に今季のマツダスタジアムでの総失策数を対戦チームごとに見ていきましょう。
広島 5-10 阪神
9-11 DeNA
4-4 巨人
5-7 ヤクルト
2-4 中日
2-2 オリックス
3-6 ロッテ
1-4 日ハム
何とマツダでプレーした8チーム中6チームがカープよりも余分にエラーしてますし、残りの2チームもトントンです。
つまり、カープ地元の試合では、守備面で優位に立っていることが分かります。
そして、本拠地での合計エラーは31個ですが、アウェイのゲームでは19個に激減。ここでも、セ・リーグの5球団はことごとくカープよりも多い失策数を記録しており、トータルでカープの50個に対し、相手チームは76個となっていました。
マツダで鍛えられた野手陣が、全体として能力を底上げし、守りで凌駕する野球を創り上げたのです。
防御率ナンバーワンで、投手力ばかり強調されておりますが、実は守りの堅さこそが、カープ躍進の原動力なのであります。