定食屋は米が命なんだけど、私が下関でお店をやっていた時は、農家と直接契約していたので仕入れの心配が全くなく、とびきりの美味しいご飯をおかわり自由で提供していました。
7年前当時、価格相場は1俵30キロが8,000円。これは、JAに洗脳されているためどこの農家も一律で、抜け駆けを許さないと思い込んでいるのが田舎の常識というものでした。本当は、品質に個体差があって、上流の田んぼ(水がキレいで涼しい)で獲れた米ほど美味い。だから、値段に差をつけても良いと思うんだけど、そういうことをすると途端に陰口が立つのが集落の閉鎖性で、米の価格が一定に維持されていたのです。
前にも書きましたが、「自分が損をしているのだから、お前も損をすべきだ」そんな心理から引き起こされる行動を「スパイト行動」と言います。スパイト(spite)とは英語で「意地悪」の意味なんだけど、こういう同調圧力こそが田舎の発展を阻害している考え方で、農業に魅力が生まれない要因となっているのです。
本当は、2倍3倍のお金を払っても手に入れたいような品質のお米がたくさんあるのに、もったいない話です。
子供のころ、稲作生産の中心は、新潟から東北にかけての夏でも涼しい地方でした。
それは、お米というものが暑さに弱く(寒さにも弱いんだけど)、九州をはじめとする南では、良質の米が獲れないと思われていたのです。
ところが、品種改良がぐんぐん進み、今ではむしろ特Aランクの産地の中心が西から南へと移りつつある。変われば変わるものです。
ちなみに、私のお店では「きぬむすめ」と「にこまる」を使っていました。この「にこまる」は近年急上昇の銘柄で、粘り気が強いためもち米が混ざっているような食感で、腹持ちが良いのが特徴的です。毎朝お店で精米し、氷で締めてからガス釜で大量炊きするので、家庭ではなかなか味わえないような逸品に仕上がりました。懐かしい。
ここのところ、スーパーの店頭からお米が消えています。
インバウンドの影響だと言う人がいますが、そんなレベルじゃないでしょう。立て続けの災害報道で、備蓄ブームが起きたのに相まって、何らかの意図が働いているように思います。急激な値上げ? そうなると、飲食店は大変でしょうね。みんなが右往左往するなか、これは結構な政治課題です。
農業に携わる人の平均年齢は68歳だと言いますから、それでは改革が望めそうにないってとこ。内側からはなかなか変えられない。
JAを何とかしないといけないんですけど…。
農政に大鉈が振れる救世主ということで、石破茂を支持しているんだけどねぇ、ダメなんだろうなぁ。