瀬戸内寂聴という人は謎が多く、作家だったハズがいつの間にか僧侶に転進し、自身の経験を通じて不倫を堂々と肯定するなど発言の生々しさが人間味に溢れているということで、たくさんのファンを抱えていました。
持ちかけられたいろんな難題を逃げることなくスパッと答える潔さは、美輪明宏に通じるものがあるんだけど、仏門に身をやつしている分、説得力が増しているように思います。
いつものブックオフで、『寂聴 九十七歳の遺言』(朝日新書)を110円で手に入れたので、ご紹介いたします。
・自分を愛することができない人は、他人を愛することができなくなる。
・男は代えれば代えるほど悪くなる。どんなに代えても似たような相手ばかり。結局、愛する人が一人で終わるのが一番幸せなのだ。
・仏教では、見返りを欲しがる渇愛とあげっぱなしである慈悲の二つの愛があるとしている。
・人間の心は年中変わる。いい加減だ。だからこそ、しっかりしたものを頼りたくなる。
・全てのものは移り変わるというのがお釈迦さまの教えの根本。苦しみや悲しみがいつまでも続くことはない。明日のことはわからないのだ。
・人間はいいことがあったら悪いことが起こる。その逆もしかり。心を動かさないでいられることが大事なのだ。
・長生きするということは、愛する人とたくさん死に別れるということと知るべし。
・京都には「日にち薬」という言葉がある。過ぎていく日々、時間の経過が薬となって、心の痛みを和らげてくれるという意味だ。
・忘却とは、仏様や神様が人間にくださった恩寵(おんちょう)である。
・人間は苦しんだ分だけ愛の深い人に育っていくのである。
・不幸は泣き顔につく。ニコニコしていると不幸は逃げて行く。笑顔を忘れると不幸が倍になる。
・誰が見ていなくても仏様が見ていてくれる。それが信仰である。
・生きるというのは人を幸せにすることだ。見返りを求めない愛である慈悲が最も尊い愛である。忘己利他ということだ。
ブッダの教え、なかなかいいもんですね。歳を重ねた人が、仏教に傾倒していくのが分かるような気がしました。