コント番組というのは、あるようでいてなかなかなくて、ドリフターズとひょうきん族以外はこれといった足跡を残していないように思います。スマスマなんかもやっていたけど、それだけで30分を繋ぐのはしんどい。吉本新喜劇は、見る側の喜怒哀楽の心情に働きかけるメッセージ性が強いから芝居です。これに対し、ひたすら笑いに特化しているのがコントなんです。
そして、小道具ならともかくも、大道具に結構なお金がかかるってことがコントの弱点です。また、演者を増やさないと同じような狭い設定での繰り返しになり、飽きるってのもある。今どきのテレビは低予算ですからね。人数も抑えたいし、スタジオにも金をかけたくないんです。
東京03を始めとするコント師たちが、公演で舞台を全国行脚する場合、照明と音楽に頼るところが大きく、何よりも信者としてのファンが会場の空気を支えてくれるので、ギリギリで成立しているのです。
だけど、不特定多数に投げかけるテレビというものは、そんなに甘くありません。これが、民放で単独のコント番組がない理由です。
そんな中、NHKだけは独自路線を貫いてきました。
番組作りのポリシーは、お笑い芸人だけに頼らず、正統派の役者を絡めて演技にキレとコクを加えるってことなんです。
『サラリーマンNEO』で、生瀬勝久や沢村一樹をスターダムにのし上げた手法が、今の『LIFE!』に繋がっていきます。
16日に放送された回では、レギュラーである内村光良・田中直樹・塚地武雅・サーヤ・シソンヌじろうに加え、今田美桜・ムロツヨシ・西田尚美・臼田あさ美が花を添えています。やっぱり、実力ある女優が入ってくると、女装で誤魔化すことがなくなるため、表現の幅がグーンと広くなります。人選も巧みで、一瞬で驚きの表情が作れる、顔芸が出来るってとこにポイントがあるようで、ともすると細目揃いのお笑い芸人とは違う、つまり華がある世界が完成するってとこ、違うんですよ。画面がキレい、かつ面白い。
受信料を払っている人は、NHKプラスでチェックしてください。お笑いイコール人生なのであります。