昨年からピッチクロック導入とけん制球の回数制限、ベースのサイズを大きく変更したため、盗塁の考え方が変わりました。
これまでは、盗塁が危険な賭けであり、それよりも打者の一発に期待する方が戦術として有効だとされていたのです。
実際に、データが数値化されていて、盗塁による得点の期待値が何もしないより低いということが関係者では周知の事実でありました。
こうしたルール改変で、これまで70%強であった成功率が80%弱にまで上昇し、全体の盗塁数も4割増となっています。
それでも成功率9割超えは異常な数値であり、大谷独自の観察眼がそれを可能にしていると考えられるのです。
【全51盗塁分析】
まずは、その内訳から。
①二盗 42(失敗3) 三盗 9(失敗1)
基本は単独での一塁走者時で、ホームスチールはありませんでした。三盗の比率が高く、何かコツを掴んでるようです。また、三盗は1アウトの時に仕掛けるのが多く、得点の可能性を高めようとしています。
②アウトカウント別では、次のとおり。
0アウト時 11 1アウト時 13 2アウト時 27
二番打者の時は2アウト時に走ることが多かったのですが、一番打者となってからは、より積極的になっています。
③各打者の何球目に走っているかを見てみると、
1球目 15 2球目 19 3球目 6 4球目 7 5球目以降 4
非常に早めの勝負としています。打者のカウントが煮詰まってくると、動かないようにしているのが大谷流です。打者心理を慮ってのものだと推察しています。普通の走者は3-2のカウントで走るんだけど、大谷の場合、そういう時には走りません。これも独特です。
④盗塁時の打者
ベッツ 12 フリーマン 15 スミス 12 T・フェルナンデス 7 その他 5
錚々たるスラッガーが控えているので、何でもかんでも走ろうとはしていません。
⑤イニング別ではどうでしょう?
1回 10 2回 6 3回 10 4回 5 5〜7回 各3 8回 8 9回 3
8回に多いのは、勝敗の決着をつけようとしているためで、走者であっても主役意識が高いのです。
⑥相手投手
右腕 36 左腕 15
やはり、サウスポーの方がリードを取りにくいようです。
⑦盗塁時の球種
ストレート 16 スライダー 8 シンカー6 チェンジアップ 5 カットボール 4 カーブ 4 その他 5 不投球(牽制からの飛び出し) 3
ピッチャーがランナーを意識すると、ストレートが多くなる傾向が強まりますが、強打者揃いのドジャース打線にそう簡単にはいきません。必ず変化球を混ぜてくるわけで、そのタイミングを逃さないのが大谷翔平なんです。
NPBと違って、30球団の中で対戦相手がどんどん変わっていくため、個々の投手のクセを見破るのは難しいハズです。
それが簡単にできてしまう大谷翔平の秘密は二刀流にあると踏んでいます。
つまり、走者でありながら、投手の心理までわかるってこと。それは、おかまバーのママの話が面白いのと同じ理屈です。分かるかな⁇