『ケーキの切れない非行少年たち』はシリーズ化された宮口幸治のベストセラーですが、この中で遠回しに言っているのは、障害とまでは認定されないものの境界知能とカテゴライズされるいわゆる判断能力が極めて低い人たちのことで、詐欺グループの手先となりやすいのが、よく分かります。
例えば、衆人環視のもと、白昼堂々と銀座の高級時計店に押し込みをかけた事件なんぞ、普通の感覚では理解し難いものがありますが、三手先を読めないのがケーキの切れない子たちであって、強奪して逃げる以降については想像がつかないってこと。使用者側にとっては、誠に使い勝手の良いアルバイトなのであります。将棋は間違いなく弱いけど。
そして、そういう将棋の弱そうな人をどうやって集めるかといいますと…
ちょっと前に、アパレルのバカ社長がお年玉として100人に100万円を配るなんてことを社会実験だと言ってやってましたが、そういうのに応募してくるような人は、確実にバカリスト入りします。この件が、そのまま闇バイトに繋がっているとは言いませんが、一つのデータベースが出来上がるわけです。世の中を甘く見ている人、あるいはお金を欲しがっている人。
「一億円あげます」なんてフザけたメールが届いたりするけど、あれなんかもそう。つまり、普通に考えたら、絶対に触れちゃいけないようなものに平気で触ってくるような人たちをリストアップすれば、狙い撃ちの精度が上がるってことです。それがバカリスト。
一方で、過去に投資用のマンションを購入した人だとか、詐欺まがいのビジネスに引っかかったことがある人だとか、高齢者一人暮らしだとか、電話をかけたら反応が怪しかった人だとか、それはもうターゲットとなるリストはどんどんブラッシュアップしていきます。
う〜ん、分母はどんどん大きくなりますからね。これは、ものスゴい成長産業です。
高齢者が受ける電話については、代行セキュリティサービスというビジネスが生まれるような気がしています。