『探偵ナイトスクープ』が世の中に認められたのは、「関西ではアホと言うけど関東ではバカと言う。では、その境界線はどこにあるのか?」を大々的に調査したことでした。それが、世に言う『日本全国アホバカ分布図』の調査です。くだらないと思うかもしれませんが、これは柳田國男の『蝸牛考(方言周圏論)』に通じる話で、後に出版化され、学術的にも評価が高い作品として仕上がりました。ちなみに、このときの番組スタッフにあの百田尚樹が放送作家として加わっています。あの頃は良い人だと思ってました。
ことほど左様に西と東とでは言葉や文化が違っていて、また、食べ物に対する考え方が、驚くほどに違う。それを象徴するのが肉であり、関西の肉じゃがは牛肉だけど、関東ではそれが豚肉になる。つまり、西は牛、東は豚、一部地域は鶏だと言うのが肉の捉え方のようです。
そんなことをつらつらとまとめてあるのが『天ぷらにソースをかけますか? ニッポン食文化の境界線』(野瀬泰申著・新潮文庫)です。
同書では、こんなことが紹介されています。
「天ぷらにソースをかけますか?」 東ーかけない 西ーかける
「ナメコの味噌汁が好きですか?」 東ー好き 西ー好きではない
「ぜんざいとお汁粉の呼び方、どっちが優勢?」 東ーお汁粉 西ーぜんざい
「唐辛子を胡椒と呼びますか?」 九州と鳥取ー呼ぶ その他地域ーほとんど呼ばない
「中華まんに何をつけますか?」 東ー何もつけない 沖縄・鹿児島を除く九州・山口ー酢醤油 関西および岡山・広島ー辛子
「卵焼きは甘いですか?」 東ー甘いが優勢 近畿及び愛媛・高知・熊本・宮崎ー甘くないが優勢
「味噌汁にニラを入れますか?」 東ー入れる 西ー入れない
「カレーに卵をのせるとしたら?」 東及び沖縄・大分・長崎ーゆで卵優勢 大阪・奈良・徳島ー生卵完勝 その他ー生卵優勢
「ポリタンクの色は?」 東ー赤 西ー青
結婚した相手の出身地が東と西だったりすると、こんな話題が日常茶飯で、食べ物なんかはどちらかに寄せていくのでありましょう。
そのことで、グッと距離が縮まることもあるだろうし、離婚の原因になったりもする。多分ね。