都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

宙わたる教室

イッセー尾形という人がいます。

そのデビューは鮮烈でした。『お笑いスター誕生‼︎』という番組で、一人芝居(いわゆるスタンドアップコメディ)というジャンルを確立させ、後に続く竹中直人の先駆けとなった俳優です。そのシニカルな笑いは捻りが効いていて、奥行きが深いと思わせてくれたのを思い出します。

例えば、木村拓哉は誰を演じても木村拓哉だって言う人がいますが、イッセー尾形の演技はその真逆で、憑依型であり自分とは全く違う人格を映し出す。人間というものは、絶えず自問自答を繰り返しながら悶々としているもので、一日経ったら全く違うことを言うようになったりすることだってあると。それを前提として、内面の揺るぎを表現するもんだから、これはもう誰にも真似できない境地に達していると評価しています。

 

29日に放送されたNHKのドラマ10『宙わたる教室』では、定時制高校に通うイッセー尾形が授業中に、真面目に聞こうとしない若いクラスメートと衝突するところから始まります。その中の一人、タブレットを開いていた青年が、実は文字の読み書きに障害を抱えていて、音声教科書を開いていたのを自分はサボっていたと決めつけていたと知って愕然とします。そして、定時制に通う生徒たちは、それぞれに事情を抱えているのだと。そこで、イッセーは、以前から担任に提案されていた自分の体験を話すことを決意します。生徒たちは、就職の話だと聞かされて教室にやってくるのですが、イッセーは自分が集団就職で東京にやってきたときの悔しさから始まって、自分よりも定時制高校に行くことを熱望していた妻のことを話し出したのです。最初は憮然としていた生徒たちも、次第に長嶺の話に引き込まれていく…って展開なんだけど、このイッセーの一人語りがスゴいのひと言に尽きます。フィクションなのに、本当の話のようであり…不覚にも声を出してギャン泣きしてしまいました。

これの再放送は、本日の深夜0時35分から観れますし、NHKプラスなら11月5日22時まで視聴可能です。連続ドラマではありますが、一話完結なので、過去を知らなくてもOKです。是非是非お見逃しなく‼︎