中学のころ、好意を寄せていた女の子の好きなものが、バカラックとラフマニノフであることを知って、わちゃわちゃしていました。
バート・バカラックはともかくも、ラフマニノフって誰だってことで、物知りの友人に聞いたところ、どうやらクラシックの作曲家らしい。
ネットのない時代、分からないことを調べるのはなかなか大変で、分からないままにしていたことが多かったのですが、そういう時にインテリジェンスの高い友達の存在は貴重で、友人を見れば、その人のレベルが知れるというものでした。だから、賢い友人の方が話が弾む、そういうもんだったのであります。
私の場合、受験の二次試験に音楽があったため、クラシックの名曲をひと通り聴いていたものの、その中にラフマニノフはいません。
そこで、レコードを買いに行くほどの行動力もお金もなく、恋心は雲散霧消。ネットがなければ、TSUTAYAもない時代の話でありました。
食後にフルーツを食べるのと、日常的にクラシックに接してコンサートへ行ったりするのは、別の世界の出来事なんだなぁと実感したものです。格差社会の話。
『おわかれはモーツァルト』(宝島社文庫)は、中山七里のクラシックとミステリーを融合させたシリーズの一つです。
盲目ながら2010年のショパンコンクールで2位を受賞したピアニストがクラシック界の話題を独占し、人気を集めていた。 しかし、その盲目であるとの真偽をめぐり、疑いを持ったフリーライターが銃殺されてしまう。 事件は深夜、照明の落ちた室内で起きたってことで、疑惑の目がピアニストに向けられるって話。
佐村河内守と新垣隆の事件を彷彿とさせる展開なんだけど、気持ちのいいもんじゃありませんでした。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 17点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 17点
【読後感】爽快感・オススメ度 17点
【合計】86点